『 彼女・彼氏 ( あのひと・あのひと ) ― (3) ― 』
§ カノジョ ( 承前 ) 島村ジョー君 ・ 談
あ そうそう・・・ もいっこ、 決意があるんだよね〜〜 俺。
決意 っていうか〜〜 あ いきるもくひょう ってヤツ。
中坊のころ、 日々 目標を持て とか〜〜 先公がうるさかったなあ ・・
ふ ふん! 今 なら 俺、 いや ぼく ばっちし! ぴ〜〜す♪
― で なにか つて?
ウン あのコ さ。 < きぼう > があったんだ。
ぼく ・・・ あの街に迎えに行った時に わかっちゃったんだけど。
うん、超〜〜どっきり だったんだ。
マジ・寒かった〜〜〜 あの夜。 カノジョの故郷の街でさ。
まあ そのぉ〜〜 イロイロあって ― ぼく 撃たれそ〜だったんだぜ?
わたし。 踊りたいの ・・・ !
カノジョの あんな顔 初めてみた。
もう さ。 なんてのかな〜〜〜 超〜〜〜〜マジってか ・・・
あの顔、見ちゃったら なんも言えんじゃん?
そんでもって ぼく、もういっこ 追加・決意〜〜 ってわけ。
― 踊れよ。 好きなだけ。 ぼく 応援するから。
くらしっく・バレエ なんだって。 へ?? なにそれ だったけど・・・
ほら〜〜 あの円盤みたくなスカートで つんつんつま先立ちして
くるくる回ったりするダンスさ。
・・・ 実は ぼく みたこと ないんだ。
でも カノジョが望んでるんだもん、フォロワーのぼくとしては
放っておけね〜〜じゃん?
ウチ 帰ってから検索して ― へ〜〜〜〜 ・・・・ って思って。
< バレエ・スタジオ > ってヤツ、さがした。
ネットではよくわかんね〜〜な〜〜って。 だいたいさ 自分トコの宣伝って
イイコトばっかかくじゃん 普通?
ま〜〜ったくジャンル違いだから いいねってなに?? って気分だし。
とにかく 至近距離で資料集めっから!
いろいろ〜〜 パンフとかも集めたさ。
どこって ハマにさ ひらひら〜〜〜って服? いしょう っての?
アレがショーウィンドウに並んでる店があるのは
知ってたから ― えいって勇気だして入ってみて ・・・
どっぴゃ〜〜〜 女のコしかいね〜じゃん ・・・
即 反転・・・・って思ったけど 隅っこのラックになんかパンフがいっぱい
あってさ。 たっ・・て行って がさ。 とってきた。
「 あ あの 〜〜 さ ふらんそわずさん 」
「 フランソワーズ。 」
「 へ? 」
「 だから さん はいらないわ 」
「 あ は はい ふらんそわず・・・ あの〜〜 」
「 はい? 」
「 あ あの さ。 こ これ・・・ こ〜んなの あったから・・・
こういうトコ 踊れるんだろ ? 」
「 え ・・・? 」
ガサゴソ ぼく パンフの束を差し出したんだ。
「 ま ・・・ あ ・・・ これ ・・・ ジョー ・・・ 」
「 あ ごめん ちがった?? 」
カノジョさあ なんか絶句しちゃって。 やば〜〜〜???
ぼく ちょんぼった??
「 ご ごめん あの なんかよくわかんなくて
ごめん ・・・ 捨てるね 」
「 え いいえ いいえ ありがとう!!! すごく 嬉しい・・・
覚えていてくれたの ・・・ 」
「 え あ うん 踊りたいのって ・・・ 」
「 ありがとう! こんなにたくさんのパンフレット・・・
すごく すご〜〜くうれしいわ 」
「 えへ ・・・ あ ハマにさ〜〜 これ 置いてある店があって
たぶん そこ ・・・ 好きだよ ふらんそわず・・・さん。 」
「 ありがとう〜〜〜 すごく 嬉しい ・・・ 」
わ! な 涙って ウッソ〜〜〜〜
ぼく 泣かしちゃった ・・・?
「 ご ごめ ・・・ なんかヤバいこと いっちゃった・・・? 」
「 う ううん ううん ごめんなさい、 嬉しいだけ 」
「 あっは じゃ これ・・・ いらないヤツは捨ててな 」
「 ありがとう! あ あの 」
「 なに? 」
「 さっきの ・・・ ほらこのパンフレットを持ってきてくれたお店 ね
場所 教えてください。 」
「 おっけ〜〜 ってか ジャマじゃなかったらぼく 一緒してい? 」
「 ・・・ だって興味ないヒトには退屈よ? 」
「 い〜〜ってば。 荷物持ち 兼 が〜どまん さ。
あ やっぱなんか買うの ? 」
「 ええ いろいろ ・・・ 稽古着とかポアントとか 」
「 ぽあんと ってなに 」
「 あ トウ・シューズ。 ほら 爪先立って踊るための靴
」
「 ・・・ あ〜〜 なんかいっぱい飾ってあったよ? 」
「 そう? よかった・・・ 」
「 じゃ 一緒しよ? 明日でもいいぜ 」
「 ホント? ありがとう〜〜 あの ね わたし・・・
また踊りたくて ・・・ 」
「 うん そだよね〜〜 」
ぼく あんましいろいろ言わんかった。 だってさ〜〜
ほら ・・・ あのパリでの事とか あんまし思い出したくないかな〜 なんて
思ったりするんだ。
「 ありがとう ジョー! わたし ・・・ がんばるわ 」
「 がんばる? 」
「 ええ ・・・また 踊りたくて。 あるオーデイション 受けたいの。
舞台で踊るために 」
「 オーデイション?? わお〜〜〜 アイドルみたいだあ〜〜
」
「 あ げいのうかい とはちょっと違うけど ・・・
でもね オーデイションにパスしないと ダメなのよ。 」
「 ふうん そ〜〜なんだ〜〜〜 」
「 だから練習 してるの。 」
「 すっげ ・・・ あ どこで ?? 」
「 ええ ・・・ あの ね 地下のロフトに空きスペースがあるの。
そこで ・・・ 」
あ そか! アイドル番組とかで見たよ〜〜
練習するんだ 皆。
う〜〜ん ・・・ 地下のロフトぉ? あそこ 物置だろ?
「 なあ 練習するんだろ? 場所 確保しようぜ〜〜 」
「 え 」
「 ほら 行こ 行こ ! 」
「 ど どこへ ・・・? 」
「 だから 地下ロフト! 片して広くしよ〜ぜ〜〜〜 」
「 あ ・・・ 」
へっへ〜〜 なんか秘密基地づくり みたいでさ
はりきっちゃっさ。 そんで < れっすん室 > 作ったんだ。
すげ〜だろ?
― ウン カノジョの笑顔のためなら な〜〜んだってやる♪
カノジョ 熱心に練習してたよ うん。
すげ〜よな〜〜 なんであんなコトできるんだろ?
動画でも見たんだけど ・・・ 細っこ〜いオンナノコ や オトコノコがさ
とぶ〜〜 し くるくる〜〜 回るし 脚なんか頭の上まであげるし・・・
え マジ?? 生身なのか???
PCの前で固まったよ〜〜 すっげ〜〜〜 マジかよ??
で カノジョ こ〜いうこと やる わけ・・・?
ひぇ 〜〜〜〜〜〜 ☆
応援したる! もうがっつり決心したんだ。
そしたら ―
「 あの ジョー。 ここに行きたいの 行き方、教えてくださる? 」
ってカノジョ、 パンフみせてくれて。
「 あ? あ〜〜 ウチからだったら JR とぉ メトロだな〜 」
「 ありがとう! スマホ検索しただけど ちょっとよくわからなくて 」
「 あ なにかあるの? 」
「 ええ あの ・・・ バレエ・カンパニーのオーデイション が 」
「 わお〜〜 あ じゃあ ぼく 送ってく! 」
で 結局 オーデイションには落っこち だったんだけど
そのバレエ・カンパニーに 通うことになったんだ、カノジョ。
すっげ〜だろ?? 夢への 第一歩 さ。 かっけ〜〜〜よな〜〜〜
カノジョ ・・・ スゴイよな〜〜〜
なんかさ〜〜 ぼく めっちゃ尊敬してるんだ。
だ か ら。 カノジョの笑顔 護る!
うん、なにがあっても さ。 そのために 闘うんだ 俺。
誰がために闘う って? きまってんじゃ〜〜ん カノジョのため!
え? サイボーグ戦士は平和を守るんだろって?
う〜〜ん ・・・ 俺 生まれてからず〜〜っと 平和 だったからさ
よくわかんないや。
・・・ 正義 とかも よくわかんない。
俺にわかるのは ― 二度とカノジョを泣かせるなっ ! ってこと。
そのために これからも闘う。 カノジョのため さ。
「 あ。 それじゃ フリーターじゃ ダメじゃん。 」
そ〜なんだよ〜〜〜 ほら 社会的信用 ってヤツ。
ナンかあった時 ― スーパーガンと加速そ〜ち で片付くことって
そんなにないよね?
マジ 今のまんまじゃ ヤバい !
俺 いや ぼく。 その瞬間 働くぜ ってマジ決意した。
うん コズミのセンセイに相談してみよう。
最初はバイトから さ。 おし! やったる!
も〜〜〜 なんだってできそうな気がするんだ 、ぼ〜ぼ〜燃えてるぜ 009は♪
うん。 ぼく カノジョ、 ふらんそわ〜ず を
護るために 生まれてきたんだ。 そう 信じてるっ
§ カレシ フランソワーズ・アルヌール嬢 ・ 談
運命を呪ったこともあったけど ― わたし。
それは もしかしたら間違っていたかもしれないわ。
なんとかあの悪魔の島から脱出し 自由の身になれたけど ・・・
こんな境遇ですもの、 隠れてひっそり生きてゆくしかない って
思ってたわ。
そりゃ 仲間達はいるれど ・・・ わたしは とんだおばあちゃん ですもの・・・
009? あ ジョー っていうんですって。
いいコよ ・・・ 最初 なんなの〜〜って思ってたけど。
なんだか掴みどころのない・いつも曖昧な笑顔の・う〜んと年下のコ
・・・って思ってたけど。
・・・ もしかしたら マチガイかもしれない。
いえ マチガイ というか わたしの理解が足りなかったのかもしれない。
そりゃそうよねえ いきなり サイボーグ なんかにされてしまったら
なにがなんだかわかならいわよね。
彼の場合 サイボーグになっててびっくり、 脱出行でびっくり、
< 闘う > なんて 考えたこともなかったみたいだし。
あ あのコ、ニホンジンなのよ ほら あの国って戦争しないんでしょ?
あのコも闘わないヒト みたい。
コトバも 意味不明な部分が多いし ・・・
でも でも ね。 ― 優しいヒト なのよ。
「 そんなコト 言うなっ 」
え?? 彼 真っ赤になって怒って わたしに言ったの。
「 ・・・ でも 事実なんだし 」
「 聞いたよ。 それが なに?? きみは ― いま ここに生きてるし
これから一緒に生きてゆくんだぜ? 」
「 ・・・ え ええ ・・・ 」
そうなの、 『 とんだおばあちゃんで ごめんなさいね 』 って。
なんかもう口癖みたくなってて 何気なく言ってしまったの。
そしたら あのコ 物凄く怒って。
ええ 彼があんなに激しく怒ったのを見たのは 初めてだったわ。
彼 ・・・ ジョーは いつもなんとなく曖昧な笑みを浮かべてて・・・
議論などには絶対加わらないの。
ミーテイングで意見を聞いてもね ・・・
「 そうねえ ・・・ ああ 009 アナタはどう思う? 」
「 ・・・ へ? 」
「 へ じゃなくて。 今の002の提案についてよ。 どう思いますか 」
「 ・・・ えっと〜〜 あ 皆は どう? 」
「 皆・・って そりゃそれぞれ意見はあるでしょう? 」
「 あ そ そか そうなんだ 」
「 ? 可笑しな人ねえ ・・・ で 009の意見は? 」
「 え ・・・ ぼ ぼくは 皆と一緒でいいです 」
「 君自身の意見を聞きたいんだ 009。 」
「 ・・・だから あの 皆と一緒で ・・・ 」
「 ・・・ 」
他のメンバーは肩を竦めるしか ないのね。
そういう性格なのかな・・・って もう諦め気分よ。
だけど ― 違ったの 違ったのよ。
「 きみは。 19歳のオンナノコ。 そうだろ? 」
「 え ・・・ ええ でも 本当は 」
「 ストップ。 それでいいんだってば。
あ ぼくさ〜〜〜 いっこ上のきみが ・・・ いいな って
思ってま〜〜す〜〜 」
わはって笑って あのコ・・・ 逃げていったの。
まるで 子供 よ。 でも でも ね。
ほわん。 心にぽわん、って 温かい火がともったわ・・・
< それでいいんだってば。> ちょっと乱暴な言い方だけど
どん、と背中を押してくれるみたい。
ううん ― 実際に 背中を押してくれたの。
わたし ね。 ず〜〜〜っと もう一度踊りたい って 心の底に隠していたの。
それを 知ったのね あのコ。
わたし 言ったかしら・・・ってちょっと不思議に思ったけど・・・
「 ね やってみなよ 」
もうね なんかぱあ〜〜〜っと輝くみたいな笑顔で言ってくれたの。
「 え ・・・? 」
「 ぼく よくわかんないんだけど ・・・ この中に参考になるの ある? 」
「 ・・・ まあ 〜〜 」
バレエ・ショップかどこかで バレエ・スタジオとか 舞台のパンフレットを
かき集めてきてくれたの。
オトコノコが それもバレエなんて全然知らないコが ・・・ 勇気いるわよね。
「 やりたいこと、 やってみなよ〜〜 」
「 ・・・ え ・・・ 」
「 ず〜っとやりたいこと がある、なんて 超〜〜ウラヤマシイもんな〜〜
やれるチャンスがあるなら やってみなって 」
「 ・・・・ 」
わたし もう 涙 ぽろぽろこぼれちゃって ありがとう しか
言えなかったの。
このコ ・・・ ううん ジョーって
とっても 優しい のね ・・・
それ以来、もうなんだか・・・そうそう < 目が点になる >って言うんですって?
― これもジョーがよく使うコトバなんだけど。
そんな事ばっかりよ。 ジョーってば 突如 バイトを始めてね。
そりゃそうよね、若いんですもの、 遊ぶお金とかほしいでしょ?
「 がんばってね。 なにか欲しいものでもあるの? 」
「 ・・・ あ〜〜 えっと〜〜 えへへ ナイショ。
いや <社会的信用> を ゲットしなくちゃって思ってさ。
あ は いってきま〜〜す〜〜〜 」
朝ごはん 済ませると 張り切って出かけるの。
ジョー って ・・・ こういう人だったの?
ず〜っと年下の頼りないコって思ってたけど ― 違うみたい。
ううん それどころか なんかいろいろ・・・教わったわ。
ええ もちろん < おしえるよ〜〜 > なんて言わないの ね カレ。
でも ジョーの行動とかみてると わかるのよ。
つまり 願うだけじゃ だめ。 行動しなくちゃ ってこと。
わたし?
ええ あんな素敵な応援団が
いるのですもの
わたしも がんばらなくちゃ 申し訳ないわよね 。
あの時のオーデイションには 残念ながら落ちてしまったけれど
でもね
今 あるバレエ カンパニー に 所属して踊っているの。
そりゃ
ムカシ 望んでいた人生とは ずいぶん違ってしまったけど …
でも わたし 踊っているのよ!
舞台にも たてるの。
そして そして ね …
うふ ナイショだけど
好きなヒト が 愛するヒト
が
そばに いてくれるの。
この国で ずっと暮らしてきたカレにとっては ― あの 曖昧な笑顔と
引き気味な態度は ごく普通のことだったわけ。
意識して そうしていたわけじゃないのよ。
― つまり この国の国民性 みたいなものらしいわ。
それをいきなり 全然違うコトを要求されても そりゃすぐにはなにもできないわ、
当たり前よね。
彼は 本当に若いんですもの ― これは現実です ― 経験も少ないし・・・
呆然としてたのは 無理ないのよ。
でも でも ね。 彼、 突然 行動を開始したの。
「 あ〜〜 明日っから バイト行くから。 朝ご飯、一緒に食べるね 」
「 まあ そうなの? 帰りは? 」
「 あ 多分 夕方 ・・・ バイトだから残業とかはないハズ 」
「 そう ・・・ あ それじゃ ランチ、いるでしょう? 」
「 え あ〜〜 いいよ、コンビニメシ 買うから 」
「 そんなの、不経済よ。 ランチ・・・ えっと お弁当 っていうんでしょ?
作るわ。 リクエスト ある? 」
「 ひぇ〜〜〜〜〜〜 」
「 え な なに? どうか した? 」
「 あ ごめ・・・ あの ・・・ 弁当って マジ? 」
「 ええ。 わたしのでよければ 」
「 もっちろ〜〜ん♪ あ ・・・ でもわざわざ作るのって・・・ 」
「 ご心配なく。 博士のお昼でしょ わたしのお弁当でしょ 一緒に
ジョーのお弁当も作るわ 」
「 うっわ〜〜〜〜〜〜〜〜 ウッソ マジ〜〜〜
」
「 ウソじゃありません。 あ のぉ ・・・ サンドイッチ でもいい? 」
「 いい いい いい〜〜〜〜〜 さっいこ〜〜〜〜 」
ジョーってばね もう本当に飛び跳ねているのよ。
大丈夫・・? って心配になっちゃったくらい。
「 あ あの そんなに期待してもらっても ・・・ トクベツなサンドイッチ
じゃないんだけど ・・・ 」
「 でも! きみが作ってくれるサンドイッチだろ? 」
「 え ええ あ あの〜〜 口に合わなかったら別のもの 買ってね 」
「 なんで??? きみのランチ〜〜〜 きゃっは〜〜〜〜 」
「 ・・・・ 」
わたし、そんなにお料理とか得意でもないし ・・・ 昔、兄に作ってたみたいな
ハムとチーズとレタス とか ボイルド・エッグとピクルス とか
ツナとピクルス とか ・・・ あと ジョーのリクエストで ピーナツ・バターと
ジャム なんてもの作ったけど ― 簡単なものよ。
でも ― ものすご〜〜〜く喜んでくれたの。
バイトでお腹すくかな〜〜って ランチ・ボックスにたくさん詰め込んだんだけど
毎日 ぺろり。 ランチ・ボックスはすっからかんよ、気持ちいいほど・・・
「 あ あのぉ ・・・ 食べられた? 」
「 あったりまえだよ 激ウマ〜〜〜〜〜 もう最高! 」
「 そ そう? お店で買ったほうが美味しい 」
「 すとっぷ。 きみのが いい〜〜 ぜんぜん いい〜〜〜
あのう 迷惑でなければ 明日もお願いシマス 〜〜 」
「 ・・・・ うん ! ありがと ジョー 」
「 きゃっは〜〜〜は〜〜 やた〜〜〜〜
俺 あ いや ぼく バイト 頑張っちゃうもんね〜〜 」
って。 毎日張り切って出かけてゆくわ。
ジョーはホントに普通のアルバイトから始めたわ。
日本の社会って こう〜〜所謂普通のレールから外れるといろいろムズカシイらしいの。
でも 彼 がんばって ― 半年くらい経ったある日 夕食の時なんだけど。
「 あ〜〜 お知らせ があります 」
ちょっともじもじして 食卓の前に立ったのよ。
博士とわたし、そして その日は グレートと張大人もいたわ。
「 あ 島村ジョー は ○○出版社編集部 に 契約社員 として
採用されましたことを ご報告いたします 」
え ・・・???
「 ほう〜〜〜 よく頑張ったな、ジョー。 」
もう博士なんか顔 くしゃくしゃにして喜んで・・・
「 おう ボーイ、やったナ 」
どん。 グレートも に・・・って笑い ドン! 彼の背中を叩いたわ。
「 ほっほ〜〜 ほんならお祝いや〜〜 もう一品 作りまっせ〜〜
ああ〜〜 はよ言うてくれはったら、 おっきな鯛 用意したんやで〜〜 」
大人たら 大慌てでキッチンに飛び込んだわ。
「 ・・・ ジョー ・・・ すご・・・いわ ・・ 」
「 えへ ・・・ ありがと〜ございます。
これからいっそうしょうじんいたしますので みなさま よろしく
ごしどう ごべんたつ のほどをおねがいいたします 島村ジョー より 」
ジョーったら 棒読みのセリフみたいな事、言って・・・
「 でけたで〜〜〜 海老チリや〜〜 熱々でっせ〜〜〜 」
「 わあ〜〜 ぼく 大好き! ありがとう 大人〜〜 」
「 さあ いただこう、 おっとその前に〜〜 」
皆で 乾杯して ― ジョーにお祝い言って 後はもう
わいわい・・・ 楽しい晩御飯 よ。
― 今ね なんか わたし。 ものすごく嬉しいの。
クラス・レッスンに毎日通えて 舞台もあって・・・
そして なによりウチには家族が待ってるの。
とてもとても充実した毎日だわ。
こんなに幸せで いいの? って ・・・ 怖いくらいよ。
そりゃ ・・・ ある日突然 今の平穏な日々は崩れ去ってしまう かもしれないわ。
それに 歳をとらない身体ですもの、ずっとこのまま・・・というのは
無理よね。
それでも。 なにかあっても。 今のシアワセを失くしてしまっても。
わたし また 立ち上がれる ― そんな気がするの。
だって ・・・ カレが ジョー が いてくれるから ・・・
***********************
はい こうして 一目ぼれ の二人は この後、なが〜〜い年月をかけ
ゆっくりとコイビト同士 になっていった ・・・ と思われるのでした。
***************************** Fin.
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Last updated : 10,02,2018.
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************** ひと言 **************
ははは ・・・ こりゃ 完全に 平成っ子・ジョー ですな
二人にとっては これからが タイヘン ??
でもお互いに 一目ぼれ なんですからね♪